行政書士法人スマートサイドは、これまで数多くの事業者の申請をサポートしてきた東京都入札参加資格申請の専門家です。本インタビューでは、代表の横内賢郎が、初めて申請に臨む方のために、手続きの全体像と押さえるべきポイントをわかりやすく解説します。準備に役立つ実務のヒントが詰まった内容です。
東京都入札参加資格の全体像とポイント
それでは横内先生、本日は、東京都入札参加資格申請の手続きの流れについて、全体像と押さえるべきポイントの解説をお願いいたします。
はい。どうぞよろしくお願いします。東京都の入札参加資格申請は、行政書士法人スマートサイドが、とても得意とする手続きですので、きっと役に立つ情報を提供できることと思います。
事前にお伝えしておきたいのですが、今回のインタビューでお話しするのは、東京都の「物品・委託」の入札資格の手続きになります。公共工事の入札参加資格については、また、別のインタビューでお答えしていますので、公共工事の入札に興味がある建設会社の人は、ぜひ、そちらのインタビュー記事を読んでみてください。
(参考)【専門家に聞く】経営事項審査の手続をスムーズにクリアするための重要ポイント
(参考)【専門家に聞く】東京都の公共工事の入札資格とは?建設会社の取得の流れを徹底解説
本日お話しいただく「物品・委託」と、以前お話しいただいた「公共工事」とは、手続きが全く異なるということですね。
おっしゃる通りです。東京都の入札参加資格は、「物品・委託」と「公共工事」の2つの種類に分かれています。役務の提供は、「物品・委託」に含まれます。公共工事の入札に参加する場合には、別途、建設業許可や経営事項審査という項目が必要になりますので、まったくの別物とお考え下さい。
電子証明書とICカードリーダの事前準備
分かりました。それでは、早速、中身に入って行ってもらえますか?
はい。
東京都の入札参加資格申請で、一番気を付けなければならないのは、電子証明書とICカードリーダの取扱いです。この点については、すでにご存知の人も多いと思うのですが、東京都の入札参加資格を取得するには、電子証明書とICカードリーダを会社の備品として購入しておくことが必要です。
電子証明書とICカードリーダがないと、入札参加資格の申請をすることができないので、必ず、事前に準備しておく必要があるのです。
電子証明書やICカードリーダが必要なのは、わかりますが、それは、ビックカメラから買うものなのでしょうか?それとも、都庁に行けば売っているのでしょうか?
とてもよい質問ですね。
電子証明書やICカードリーダは、 ビックカメラやドン・キホーテといった量販店から購入するものではありません。都庁に行って購入するものでもなければ、Amazonで購入するものでもないんです。
実は、電子証明書とICカードリーダは、電子入札コアシステム対応の民間認証局(※)から購入する必要があります。
(※参照)電子入札コアシステム対応の民間認証局一覧
電子入札コアシステム対応の民間認証局? はじめて聞く言葉です。
ほとんどの人にとって、馴染みのない言葉かもしれませんね。とりあえず、入札に必要な電子証明書とICカードリーダは、ビックカメラなどの量販店から買うのではなく、民間認証局というところから購入するものだと覚えておいてください。この「電子入札コアシステム対応の民間認証局」には、(株)帝国データバンクやNTTビジネスソリューションズ(株)などがありますが、弊所では、日本電子認証(株)のAosignカードをお勧めしています。
割引制度があったり、ヘルプデスクが充実していたりと、いったことが理由です。
それでは、民間認証局から電子証明書を購入するには、どうすればよいのですか?
民間認証局から電子証明書を購入するには、会社の登記簿謄本・会社の印鑑証明書のほかに、代表取締役の住民票・代表取締役個人の印鑑証明書といった公的書類が必要です。また、その他にも、電子証明書購入申込書の作成が必要になります。
こういった、もろもろの書類を準備して郵送することによって1週間程度で、本人限定受取郵便で電子証明書とPIN(暗証番号)を受け取ることができます。本人限定受取郵便なので、カード名義人本人が、運転免許証などの身分証明書を持参して、最寄りの郵便局に受取に行く必要があります。
うーん。なかなか、面倒ですね。各種公的書類を集めなければならない上に、代表者自ら郵便局に取りに行くとなると、思った以上に手間がかかる印象ですね。
実は、この手続きは、行政書士が代理人として行うことができます。弊所では、東京都の入札に参加したいお客さまに代わって、「電子証明書発行申込と受取の代行」をおこなっています。ほとんどのお客さまが、東京都への申請だけでなく、電子証明書などの事前準備についても弊所にご依頼頂いていることからも分かるように、電子証明書を購入するだけとはいえ、面倒に感じる方が多いのは事実です。
電子証明書とICカードリーダの購入後の手続き
それでは、電子証明書とICカードリーダを購入した後には、どういった手続きに移っていくのでしょうか?
はい、せっかくですので、電子証明書とICカードリーダを購入した後の手続きについても説明しますね。
少し細かいお話しになってしまいますが、電子証明書とICカードリーダを購入した後の手続きは
- 受領証の送信
- 各種ソフトのインストール
- 電子証明書とICカードリーダの動作確認
- 東京都電子調達システムのパソコン設定
- 東京都電子調達システムへのログイン
- 電子証明書の登録
という手続きが必要です。この1~6までをおこなって、はじめて「入札参加資格を申請すること」ができるようになります。逆にいうと、ここまでおこなわないと、入札参加資格を申請することができないのです。
うーん。これは、なかなか、大変ですね。私のような素人は、「入札参加資格を申請すること」が最も難しいように感じていました。電子証明書を購入するだけでなく、購入後にこれだけの作業が必要だと、「申請」にたどり着けない人もいるのではないですか?
そうですね。私の知る限るでは、多くの人が、申請前の事前準備の時点で挫折してしまいます。だからこそ、私たちのような専門家が活躍する場があるのですが。例えば、「2.各種ソフトのインストール」についても、何か1つがうまく行かないと、その先にまったく進めないようなケースもあります。また、「4.東京都電子調達システムのパソコン設定」についても、何か1つを飛ばしてしまっていたりすると、「画面が先に進まない」「ログイン画面が開かない」ということがあるのです。
私たちがお客さまのところへ行ってパソコンの設定をする場合、通常は1時間程度で全ての作業が完了しますが、中には2時間経っても終わらないというケースがあります。社内のセキュリティが厳しいとか、システム管理者の権限が必要だとか、理由は様々ですが、事前準備であるパソコンの設定に時間と労力が必要なのは、たしかです。
東京都電子調達システムからの入札参加資格申請
仮に、パソコンの設定などの事前準備が滞りなく終わったとして、やっと、東京都の入札参加資格を申請することができるのですね。
はい。
東京都への入札参加資格の申請は、「東京都電子調達システム」というインターネット上のホームぺージを利用して行います。「東京都電子調達システム」から「資格審査」という画面を開いて、PINを使ってログインしてから、各種情報を1つ1つ入力していく流れになります。
例えば、「申請する営業種目」「申請する営業種目ごとの売上高や契約実績」「従業員の人数」「社会保険への加入状況」「税金の額」など、さまざまな項目への入力が必要です。
その際に、必要な書類はありますか?
申請の際に必要な書類は、財務諸表と履歴事項全部証明書の2点です。その他には、健康保険料や厚生年金保険料の支払いが分かる資料や雇用保険の加入に関する資料などが、手元にあると、便利だと思います。
入力項目については、本当に多岐にわたるので、もし、みなさん自身が、申請を自分の力で行おうとするのであれば、手引きやマニュアルを精読して、決して間違いのないように、入力を行わなければなりません。
- 売上高の入力は「税込き表記」なのか「税抜き表記」なのか?
- 契約実績は、いつの時点まで遡って入力すべきなのか?
- 従業員の人数は、代表取締役を含めるのか?パートは除くのか?
など、細かいところにも気を使わなければならないのが、申請手続きの最も大変なところと言ってよいと思います。
それでは、無事に申請手続きが完了した後は、どうなるのでしょうか?
電子申請が完了すると、都庁の審査が始まります。通常、1週間から2週間程度で、「承認」もしくは「否承認」の通知がメールで届きます。否承認の場合、何かしらのミスを指摘されていますので、該当箇所を入力しなおさなければなりません。審査が滞りなく終了すれば承認通知が届きます。
承認通知が届くと、東京都電子調達システムの中にある「受付票」をプリントアウトすることができるようになります。この「受付票」が東京都の入札参加資格を持っていることの証になります。東京都との契約の際に、受付票の提示を求められることがありますので、承認通知が届いた後は「受付票」をプリントアウトし、表面に代表者印を押印し、裏面に印鑑証明書を添付のうえ、保管しておくようにしてください。
入札参加はいつからできる?スケジュールの確認
承認通知が届いたら、翌日から、東京都の入札に参加することができるのですか?
いいえ。
承認通知が届いた翌日から、入札に参加できるのであれば、よいのですが、そういうわけではありません。東京都の入札参加資格の適用スケジュールについては、東京都によって定められています。おおむね毎月10日までに申請が完了すれば、翌月の1日から資格が適用される、すなわち入札に参加することができるようになるというスケジュールです。
「10日までに申請を完了させると、翌月1日から入札に参加できるようになる…」かなりタイムラグがあるように思えますね。翌日から入札に参加できるようになるのかとばかり思っていました。
とても重要なポイントですね。
私のお客さまの中にも、「とにかく急いで東京都の入札に参加したい」という人がいらっしゃいます。例えば、『2週間後の入札に間に合わせたい』とか『月末までになんとかして欲しい』といったように…
しかし、いま説明したことからも分かるように、「10日までに申請完了」で「翌月1日からの資格適用」なわけですから、物理的に考えて『2週間後』とか『月末までに』というのは、不可能なのです。それに間に合わせるには、先月の10日、もしくは先々月の10日までに申請が終わっていなければならないということになります。
たしかに急ぎの案件というのはあるのかもしれません。いかに、普段から入札に備えて準備しておくことが大事かが、お分かりいただけると思います。
なかなか、奥が深いですね。ただの申請手続きと思っていたのですが…横内先生へのインタビューを通じて、きちんと理解することができました。そろそろお時間ですので、最後に、ひとことお願いします。
このインタビュー記事を見て、東京都の入札参加資格申請は、難しいと思った人もいるかと思います。確かに、知識ゼロの状態で自分一人で行うのは、非常に厳しいものがあると思います。みなさんには、本業があるわけで、本業そっちのけで、土日祝日を使って「パソコン設定をする」「電子調達システムを使えるようにする」「東京都への申請手続きを行う」というのも1つの方法です。
しかし、費用対効果の面で、もったいなくないですかね?
私たち行政書士法人スマートサイドは、東京都の入札参加資格申請の専門家として「電子証明書の購入申込・受取代行」「パソコンの環境設定」「東京都への電子申請」は、もちろんのこと、「申請スケジュールの管理」「承認・否承認の通知の管理」「受付票のプリントアウト」など、御社に代わって行うことができます。
また手続きが不安な人や、東京都の入札に関する問題点や疑問点を解消したい人のために、事前予約制の有料相談も実施しています。もし、東京都の入札でお困りの際には、この記事のことを思い出していただければ幸いです。
それでは、本日は、長時間にわたってありがとうございました。